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外国人配偶者が亡くなった場合の相続手続き

国際相続

外国人配偶者が亡くなった場合の相続手続き

国際結婚が珍しくなくなった現在、日本人と外国人が夫婦として生活する家庭は年々増加しています。しかし、外国人配偶者が亡くなった場合の相続手続きは、日本人同士の相続とは大きく異なる場合があります。

日本人の夫が亡くなった場合であれば、多くの人は戸籍を集め、遺産分割協議を行い、必要に応じて相続税申告を行うという流れを想像するでしょう。しかし、外国人配偶者が亡くなった場合には、どの国の法律を適用するのか、海外に存在する財産をどのように把握するのか、外国語の証明書をどう取得するのかといった問題が発生します。

そのため、通常の相続以上に早期の準備と専門的な知識が必要になります。

外国人配偶者が亡くなった場合に最初に確認するべきこと

相続が発生した際、最初に確認しなければならないのは故人の国籍です。

日本では一般的に日本法によって相続が行われますが、国際相続では必ずしもそうとは限りません。

例えばアメリカ国籍の配偶者が日本に住んでいたとしても、相続手続きではアメリカ法が関係する可能性があります。

また、オーストラリア国籍、イギリス国籍、中国国籍、韓国国籍など、それぞれの国によって相続制度が異なります。

したがって、相続開始後に最初に行うべきことは、

被相続人の国籍確認

居住地確認

遺言書の有無確認

財産所在地の確認

相続人の確認

です。

これらを整理しないまま相続手続きを進めると、後から大きな修正が必要になる場合があります。

準拠法とは何か

国際相続で最も重要な概念が「準拠法」です。

準拠法とは、相続手続きをどの国の法律に従って行うかを決定するルールです。

日本の国際私法では、原則として被相続人の本国法が相続に適用されます。

つまり、外国人配偶者が亡くなった場合、その人の国籍国の法律によって相続人や相続割合が決まる可能性があります。

例えば、日本法では配偶者と子が相続人となりますが、国によっては相続割合や遺留分制度が大きく異なります。

そのため、日本国内にある財産であっても、外国法の調査が必要になることがあります。

遺言書の有無が極めて重要

外国人配偶者が亡くなった場合、まず遺言書の存在を確認する必要があります。

近年は公正証書遺言だけでなく、

自筆証書遺言

海外で作成された遺言

弁護士保管の遺言

信託契約

などさまざまな形態があります。

特に海外で作成された遺言書は日本国内でそのまま利用できるとは限りません。

翻訳や認証手続きが必要になるケースもあります。

また、国によっては遺言による財産処分の自由度が日本より高い場合があります。

そのため、遺言書が存在する場合には内容を慎重に確認する必要があります。

日本国内の財産調査

外国人配偶者が日本に居住していた場合、日本国内に財産を保有していることが少なくありません。

代表的な財産としては、

預貯金

不動産

証券口座

生命保険

自動車

貴金属

事業資産

などがあります。

相続手続きを進めるためには、まず財産目録を作成することが重要です。

銀行口座については残高証明書を取得し、不動産については固定資産評価証明書や登記事項証明書を取得します。

財産を正確に把握することが相続手続きの第一歩になります。

海外財産の調査

外国人配偶者の場合、日本国内だけでなく海外にも財産が存在することがあります。

例えば、

海外銀行口座

海外不動産

海外株式

年金受給権

海外保険

などです。

これらの財産は日本国内だけで調査することができません。

現地の金融機関や弁護士との連携が必要になる場合があります。

また、財産の評価方法も国によって異なります。

そのため国際相続では海外資産調査が重要なポイントになります。

相続人の確定

日本人であれば戸籍謄本によって相続人を確認できます。

しかし外国人の場合には戸籍制度が存在しない国もあります。

その場合には、

出生証明書

婚姻証明書

死亡証明書

家族関係証明書

宣誓供述書

などを利用して相続人を確認します。

これらの書類は外国語で作成されているため、日本語翻訳が必要になることもあります。

遺産分割協議

遺言書が存在しない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。

国際相続では相続人が複数の国に居住しているケースも珍しくありません。

日本

アメリカ

オーストラリア

カナダ

イギリス

などに相続人が分散していることがあります。

そのため、郵送やオンライン会議を活用して協議を進めることになります。

協議内容がまとまったら遺産分割協議書を作成します。

外国語書類の翻訳

国際相続では翻訳作業が避けられません。

死亡証明書

出生証明書

婚姻証明書

相続関係証明書

海外遺言書

などは日本語訳を求められることがあります。

翻訳者に特別な資格は必要ありませんが、正確性が重要です。

金融機関や法務局によっては翻訳者情報の記載を求められる場合があります。

不動産の相続登記

日本国内に不動産がある場合には相続登記が必要です。

法務局へ必要書類を提出し、名義変更を行います。

外国人が相続人になる場合でも登記自体は可能です。

ただし住所証明書や署名証明書など追加書類が必要になる場合があります。

預金の払戻し

銀行預金は死亡後に凍結されます。

凍結解除のためには、

死亡確認資料

相続人確認資料

遺産分割協議書

本人確認資料

などが必要になります。

海外在住者の場合には署名証明書が求められることもあります。

金融機関によって必要書類が異なるため事前確認が重要です。

相続税の問題

外国人配偶者が亡くなった場合でも、日本の相続税が発生する可能性があります。

特に被相続人や相続人の住所、国籍、居住期間によって課税関係が大きく変わります。

日本国内に住所がない相続人であっても、日本国内財産について相続税が課税される場合があります。

また、一定のケースでは海外財産まで課税対象になることもあります。

国際相続では税務判断が極めて複雑であるため、早い段階で税理士へ相談することが重要です。

外国人配偶者の相続で起こりやすいトラブル

国際相続では次のような問題が頻繁に発生します。

財産の把握ができない。

相続人同士の連絡が取れない。

外国語書類が準備できない。

海外送金で銀行に拒否される。

税務申告が期限に間に合わない。

準拠法の解釈で争いになる。

これらは一般的な相続よりも解決に時間がかかります。

生前対策の重要性

国際相続では生前対策の効果が非常に大きくなります。

遺言書作成

財産目録作成

家族への情報共有

専門家との連携

信託活用

などを行っておくことで、相続人の負担を大幅に減らすことができます。

特に複数国に財産を保有している場合は、生前から国際相続を意識した対策が不可欠です。

まとめ

外国人配偶者が亡くなった場合の相続手続きは、日本人同士の相続に比べて格段に複雑です。どの国の法律が適用されるのかという準拠法の問題から始まり、海外財産の調査、外国語書類の取得、翻訳、相続税の検討まで、多くの専門知識が求められます。

しかし、適切な手順で進めれば相続手続きを円滑に完了することは十分可能です。特に国際相続では早期の情報収集と専門家への相談が成功の鍵となります。外国人配偶者が亡くなった際には、まず相続関係を整理し、財産の全体像を把握した上で計画的に手続きを進めることが重要です。

海外在住者が日本の財産を相続する方法帰国せずに相続手続きを進めるための完全ガイド

国際相続

海外在住でも日本の財産は相続できるのか

海外で生活している日本人や元日本人の方の中には、日本に住む親や親族が亡くなった際、「自分は海外に住んでいるが相続人になれるのだろうか」「日本へ帰国しなければ相続手続きはできないのだろうか」「日本の相続税は支払う必要があるのだろうか」といった疑問を抱く方が少なくありません。

結論から言えば、海外に居住していても日本国内にある財産を相続することは可能です。むしろ近年では、国際結婚の増加や海外移住者の増加に伴い、相続人の一部または全員が海外に居住しているケースが珍しくなくなっています。

実際には、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリス、シンガポールなどで生活している日本人が、日本国内にある預貯金や不動産を相続するケースが毎年数多く発生しています。

しかし、海外在住者が関わる相続では、日本国内だけで完結する相続とは異なる特有の問題が存在します。

日本の役所で取得できる印鑑証明書がない。

相続人本人が銀行窓口へ行けない。

遺産分割協議書への署名方法が異なる。

相続税申告の方法が複雑になる。

海外送金時に金融機関から追加資料を求められる。

このような事情から、通常の相続よりも時間がかかるケースが少なくありません。

そのため、海外在住者が日本の財産を相続する場合には、最初に全体像を理解しておくことが極めて重要です。

海外在住者でも相続人としての権利は変わらない

海外に住んでいるからといって、相続人としての権利が制限されることはありません。

たとえば父親が日本に住んでおり、子どもがオーストラリアに永住しているケースを考えてみましょう。

父親が亡くなった場合、その子どもは日本国外に住んでいても当然に法定相続人となります。

日本の民法上、

配偶者

直系尊属

兄弟姉妹

という順位で相続権が認められているため、居住地は原則として関係ありません。

つまり、東京に住んでいてもシドニーに住んでいても、ロサンゼルスに住んでいても、相続権そのものに差はありません。

しかし実務上は、海外在住者であることによって提出書類や本人確認方法が変わることになります。

ここが国内相続との大きな違いです。

相続が発生したら最初に確認すべきこと

海外在住者が相続の連絡を受けた場合、まず確認しなければならないのは次の事項です。

被相続人はどこの国に住んでいたのか。

どのような財産を所有していたのか。

相続人は誰なのか。

遺言書は存在するのか。

相続税の申告が必要か。

これらを整理しないまま手続きを始めると、後から大きな問題になることがあります。

特に海外在住者の場合、日本と海外との時差や距離の問題があるため、早期に財産調査を開始することが重要です。

海外在住者が相続する日本の財産とは

相続の対象となる日本国内財産にはさまざまな種類があります。

代表的なのは銀行預金です。

被相続人が日本の銀行口座を保有していた場合、その預金残高は相続財産となります。

また、不動産も重要な相続財産です。

自宅や賃貸マンション、土地などが相続対象となります。

さらに証券会社に保有している株式や投資信託も相続財産に含まれます。

生命保険金や未払い年金などが対象になることもあります。

海外在住者であっても、これらの財産について日本国内の相続手続きを行う必要があります。

海外在住者は日本の相続税を支払う必要があるのか

海外在住者から最も多く寄せられる質問が相続税です。

「海外に住んでいるから日本の相続税は関係ない」と考えている方もいますが、実際にはそう単純ではありません。

被相続人や相続人の居住地、国籍、海外居住期間などによって課税関係が大きく異なります。

被相続人が日本に居住していた場合、相続人が海外に住んでいても、日本国内財産だけでなく海外財産も含めて日本の相続税の対象になることがあります。

また、海外居住者であっても日本の相続税の納税義務者に該当するケースがあります。

このため、「海外に住んでいるから申告不要」と自己判断するのは危険です。

海外在住者と納税管理人

海外在住者が日本の相続税申告を行う場合、納税管理人を選任する必要が生じることがあります。

日本国内に住所がない相続人が相続税申告を行う際には、税務署へ納税管理人届出書を提出することが認められています。

納税管理人は、税務署からの通知を受け取ったり、税務上の連絡窓口となったりする重要な役割を果たします。

親族が就任するケースもありますが、税理士が担当することも少なくありません。

海外在住者が直面する最大の問題

海外在住者の相続で最も大きな障害となるのが本人確認書類です。

日本に住んでいる相続人であれば印鑑証明書を取得できます。

しかし海外在住者は日本の住民票がないため、印鑑証明書を取得できません。

その代わりに利用されるのが署名証明書や在留証明書です。

これらは現地の日本大使館や領事館で取得することができます。

金融機関や法務局では、印鑑証明書の代替書類として利用されるため、国際相続では極めて重要な書類となります。

国際相続は早めの準備が成功の鍵

海外在住者が日本の財産を相続する場合、最大のポイントは「時間がかかることを前提に準備すること」です。

日本国内だけで完結する相続であれば数か月で終わるケースもありますが、海外在住者が関与すると書類の郵送、認証手続き、翻訳作業などが必要になり、半年以上かかることも珍しくありません。

さらに相続税申告期限は相続開始から10か月です。

書類収集に時間を取られていると、あっという間に期限が近づいてしまいます。

そのため、海外在住者が相続人となった場合は、できるだけ早い段階で専門家へ相談し、全体スケジュールを把握しておくことが重要です。

国際相続とは― 海外財産・外国人相続・国境を越える相続手続きを専門家がわかりやすく解説 ―

国際相続

はじめに

近年、日本でも国際相続という言葉を耳にする機会が増えてきました。海外移住や国際結婚の増加、外国人居住者の増加、そして海外投資の普及などにより、相続が複数の国にまたがるケースが珍しくなくなっているためです。

例えば、日本人が海外不動産を所有している場合や、海外に銀行口座や証券口座を持っている場合、あるいは外国籍の人が日本に財産を残して亡くなった場合などは、通常の国内相続とは異なり、複数の国の法律や制度が関係する「国際相続」になります。

国際相続では、日本法だけでなく外国の法律、国際私法、税務制度などが関係するため、手続きが複雑になることが少なくありません。この記事では、国際相続の基本的な仕組みから、実際の手続き、税金の問題、そして注意すべきポイントまでを、専門的な内容を含めながらわかりやすく解説します。

国際相続とは

国際相続とは、被相続人、相続人、または相続財産のいずれかが複数の国に関係する相続をいいます。

通常の相続は一つの国の法律と制度の中で完結しますが、国際相続では国境を越えて法律関係が発生するため、複数の国の法律が関係することになります。

具体的には、次のようなケースが典型例です。

まず、日本人が海外に財産を持っている場合です。例えば、アメリカの不動産、オーストラリアの投資用マンション、香港の銀行口座、海外証券会社の投資口座などを保有している場合、相続の際にはそれぞれの国の制度に従った手続きが必要になることがあります。

次に、日本人が海外に住んでいる場合です。海外に長期間居住している日本人が亡くなると、相続手続きは日本だけでなく、居住国の制度とも関係することになります。

さらに、外国籍の人が日本に財産を残して亡くなるケースも国際相続に該当します。例えば、日本で働いていた外国人が日本に不動産や銀行預金を残して亡くなった場合、相続は外国法と日本法の双方を考慮して進める必要があります。

また、相続人の一部が海外に住んでいる場合も、手続きの面では国際相続に近い問題が生じます。海外在住の相続人がいる場合、遺産分割協議書の署名や書類の認証などで特別な手続きが必要になるためです。

このように国際相続は、現代のグローバル社会において非常に身近な問題になりつつあります。

国際相続で最も重要な「準拠法」

国際相続では、まず最初に「どの国の法律が相続に適用されるのか」を決める必要があります。この適用される法律を準拠法といいます。

日本では、相続の準拠法は「法の適用に関する通則法」という法律によって定められています。この法律によると、相続は原則として被相続人の本国法によるとされています。

つまり、亡くなった人の国籍の国の法律が相続のルールになるという考え方です。

例えば、日本国籍の人が亡くなった場合には、日本の民法の相続規定が適用されます。配偶者や子の法定相続分、遺留分制度なども日本法に従って判断されます。

一方、アメリカ国籍の人が亡くなった場合には、アメリカの法律が適用される可能性があります。ただしアメリカは州ごとに法律が異なるため、実際にはどの州の法律が適用されるかを確認する必要があります。

さらに、国際相続では「反致」という問題が発生することがあります。これは、外国の法律が適用されるはずだった場合に、その外国法が「相続は住所地法による」と定めている場合に起こります。この場合、結果として日本法が適用されることがあります。

このように、国際相続では単に国籍だけでなく、外国法の内容も確認しながら準拠法を判断する必要があります。

国際相続の対象になる主な財産

国際相続では、海外にある財産が大きな問題になります。特に多いのは、海外不動産、海外銀行口座、海外投資資産などです。

海外不動産は、国際相続の中でも特に手続きが複雑になりやすい財産です。多くの国では、不動産についてはその所在国の法律によって処理されるという考え方がとられています。そのため、日本で相続人が確定していても、現地の登記制度に従って名義変更手続きを行わなければならないことがあります。

例えば、ハワイのコンドミニアムやオーストラリアの投資用マンションを相続する場合、現地の登記制度や裁判制度に従った手続きが必要になることがあります。この場合、現地の弁護士や専門家の協力が必要になることも少なくありません。

海外銀行口座の相続もよく見られるケースです。海外の銀行では、日本のように戸籍制度がないため、相続人を証明するために出生証明書や婚姻証明書などの書類を求められることがあります。また、遺産分割協議書のほかに、公証書や裁判所の証明書が必要になる場合もあります。

さらに近年増えているのが、海外証券口座や外国株式の相続です。特に米国株を保有している場合には、アメリカの遺産税の問題が発生する可能性があります。このように財産の種類によって手続きや税務が大きく変わる点が国際相続の特徴です。

国際相続の税金

国際相続では税金の問題も重要です。日本では、相続税の課税範囲が非常に広く、一定の条件を満たす場合には世界中の財産が課税対象になります。

例えば、被相続人が日本に住んでいた場合や、相続人が日本に住んでいる場合には、海外の財産であっても日本の相続税の対象になります。つまり、海外不動産や海外銀行口座、外国株式などもすべて相続税の計算に含める必要があります。

一方、海外でも相続税や遺産税が課されることがあります。アメリカ、フランス、韓国などの国では、一定の条件を満たすと外国人であっても相続税が課されることがあります。

このような場合、日本と外国の両方で税金が課される「二重課税」の問題が生じることがあります。日本では外国税額控除という制度により、外国で支払った税金の一部を日本の相続税から差し引くことができますが、すべてのケースで完全に解消されるわけではありません。

そのため、海外財産を持っている場合には、生前から税務対策を検討しておくことが重要になります。

国際相続の手続きの流れ

国際相続の手続きは、基本的には国内相続と同じ流れで進みますが、海外の制度に対応するための追加手続きが必要になります。

まず最初に行うのは、準拠法の確認です。どの国の法律が相続に適用されるのかを判断し、その法律に基づいて相続関係を整理します。

次に、相続人を確定するための書類を収集します。日本人の場合は戸籍謄本を収集することで家族関係を証明できますが、外国人の場合は出生証明書や婚姻証明書などを組み合わせて証明する必要があります。

その後、財産調査を行い、国内外の財産を整理します。海外銀行口座や海外不動産がある場合には、現地の制度に従った手続きが必要になることがあります。

さらに、海外の機関に提出する書類には、公証やアポスティーユと呼ばれる国際認証が必要になることがあります。また、外国語の書類については翻訳証明が必要になる場合もあります。

国際相続のトラブル

国際相続では、さまざまなトラブルが発生することがあります。例えば、海外銀行が口座解約に応じない、海外の相続人と連絡が取れない、外国語の書類が理解できないなどの問題です。

また、海外の制度では裁判所の手続きが必要になることもあり、相続手続きが長期間にわたることもあります。このようなトラブルを防ぐためには、生前から財産の整理や遺言書の作成を行っておくことが有効です。

国際相続の生前対策

国際相続のトラブルを防ぐためには、生前の対策が重要です。特に重要なのは、遺言書の作成です。海外財産がある場合には、どの国の法律に従って遺言を書くのかを検討する必要があります。

また、海外財産の情報を家族に共有しておくことも重要です。銀行口座や証券口座の存在を家族が知らない場合、相続後に財産を見つけることが難しくなることがあります。

このような対策を行うことで、将来の相続手続きを円滑に進めることができます。

まとめ

国際相続とは、被相続人、相続人、または財産が複数の国に関係する相続をいいます。海外財産や外国人関係者がいる場合には、複数の国の法律や制度が関係するため、通常の相続よりも手続きが複雑になります。

特に重要になるのは、準拠法の判断、海外財産の手続き、そして相続税などの税務問題です。また、海外の制度に対応するために、公証やアポスティーユなどの特別な手続きが必要になることもあります。

近年は海外投資や国際結婚の増加により、国際相続の案件は今後さらに増えると考えられています。海外財産を持っている人や国際的な家族関係を持つ人は、早い段階から専門家に相談し、適切な対策を検討しておくことが重要です。

当事務所では、15年以上にわたり、国際相続専門の事務所として、多くの国際相続のトラブルを解決してきております。

国際相続でお悩みの方は、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

カナダの銀行預金の相続手続き代行

国際相続

近年、

①カナダに居住していた日本人

②カナダ国籍者と日本人配偶者

③日本帰国後もカナダ口座を保有していた方

の死亡により、カナダの不動産相続手続きやカナダの銀行預金の相続手続きが必要となるケースが増えています。

具体的には、下記のような銀行預金の相続手続きです。

①モントリオール銀行 (BMOフィナンシャル・グループ)

②ノバスコシア銀行 (スコシア・バンク)

③トロント・ドミニオン銀行 (TDバンク・フィナンシャル・グループ)

④カナダ帝国商業銀行 (CIBC)

⑤カナダ・ロイヤル銀行 (RBCフィナンシャル・グループ)

カナダの預金相続は、日本と比べて手続き、法制度必要書類が大きく異なるため、事前理解が不可欠です。

カナダの銀行預金の相続に適用される法律(準拠法)

(1)動産は「被相続人の本国法」が原則

日本の国際私法では、「動産の相続は、被相続人の本国法による」とされています。

銀行預金は動産に該当するため、

①被相続人が日本国籍 → 日本法が準拠法

②被相続人がカナダ国籍 → カナダ法(州法)が準拠法

となるのが原則です。

(2)ただし「手続きはカナダ法に従う」

準拠法が日本法であっても、預金口座はカナダ国内にあるため、銀行はカナダ法・州法に従って処理されます。したがって、実際の手続きはカナダの制度に従う必要があります。

カナダの銀行預金相続手続きの特徴

カナダでは、多くの場合、裁判所の遺産管理権限証明(Probate)がなければ、銀行は預金を解放しません。

これは日本の「遺産分割協議書」とは根本的に異なる制度です。

カナダのProbate(遺産管理手続き)とは

(1)カナダのProbateの概要

Probateとは、①遺言の有効性確認遺産管理人(Executor / Administrator)の選任及び②相続財産の管理権限付与を裁判所が行う手続きです。

(2)遺言がある場合

遺言がある場合の手続きの流れとしては、

①遺言で指定された Executor(遺産管理人) が申立て

②裁判所が遺言の有効性を確認

③Grant of Probate が発行される

という流れになります。

(3)遺言がない場合

一方、遺言がない場合のProbateの手続きの流れとしては、

①相続人が Administrator として申立て

②Grant of Administration が発行される

という流れになります。

カナダのプロベートの必要書類

カナダのプロベートの必要書類は下記の通りです。ただし、最低限必要なものなので、ケースによって異なりますのでご注意ください。

(1)基本書類

①死亡証明書(原本)

②遺言書(ある場合)

③Grant of Probate / Grant of Administration (※すでに海外で取得している場合)

④相続人・遺産管理人の身分証明書

(2)日本関係書類(日本人が関与する場合)

①戸籍謄本(出生から死亡まで)

②相続関係説明図

③日本語書類の 英語翻訳

④翻訳証明書(宣誓供述書形式を求められることあり)

州法の違いに注意

カナダは連邦国家であり、相続実務は州法の影響を強く受けます。

特徴
オンタリオ州 Probateが厳格、手続き長期化しやすい
ブリティッシュ・コロンビア州 不動産と同様に預金も厳格管理
アルバータ州 比較的簡素だが裁量あり
ケベック州 民法体系(他州と大きく異なる)

👉 どの州の銀行かが極めて重要です。

Joint Account(共同名義口座)の扱い

(1)Survivorship(生存者帰属)

カナダでは、Joint Account with Right of Survivorshipの場合、死亡と同時に生存者へ自動帰属するのが原則です。

👉 相続財産に含まれず、Probate不要となることもあります。

(2)注意点

日本の相続税ではカナダの財産は、「相続財産」として課税対象になる可能性があります。また、名義だけの共同口座は否認リスクもあります。

日本の相続税との関係

(1)課税判断は別次元

相続税は、被相続人または相続人の居住地、国籍、財産の所在地等によって、日本の相続税が課税されることがあります。

👉「カナダの銀行預金でも、日本の相続税が課税される」ケースは非常に多いです。

(2)二重課税調整

カナダに相続税は存在しません。

ただし、死亡時にみなし譲渡課税(Capital Gains)が発生する可能性あります。

日本の相続税との関係は、税務専門家との連携が必須です。

カナダの銀行預金の相続手続き代行の実務でよくあるトラブル

カナダの銀行預金の相続手続き代行の実務でよくあるトラブルとしては、下記のようなものがあります。

①Probateが必要と知らず、銀行が一切応じない

②州法の違いを考慮せず手続きを進めてしまった

③翻訳の形式が合わず、書類差戻し

④日本の相続税申告期限(10か月)に間に合わない

実際、カナダの銀行預金相続は、①カナダ州法、②裁判所手続(Probate)、③日本の相続実務、④国際税務、等々が同時に絡む高度な国際相続案件です。

また、カナダの相続手続きは日本とは全く異なり、日本的な感覚で安易に進めると、思わぬトラブルに巻き込まれますので、専門家への依頼は通常必須となります。

カナダの相続について相続人の方が単独で手続きを行うには難易度が高く、かつ法務、税務リスクが高く、日本とカナダ双方に精通した専門家の関与が不可欠です。

まとめ

①カナダの銀行預金相続にはProbateが必要になることが多い

②準拠法が日本法でも、手続きはカナダ法

③州ごとの違いが大きい

④Joint Accountは例外的扱い

⑤日本の相続税は別途検討が必要

当事務所では、15年以上にわたり、カナダの銀行預金相続、カナダの不動産相続等の国際相続手続きの代行を行っております。

カナダの銀行預金相続手続き等でお困りの場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

アメリカの相続税について

国際相続

アメリカの相続税とは

米国では、亡くなった人(被相続人=デセデント/decedent)が有していた資産を、その死亡時点で定められた評価方法(時価)で計算し、その資産を他人に移転・承継させる「権利」を課税対象とする制度が、いわゆる「相続税(estate tax)」です。

正確には、米国の連邦税法上、被相続人の死亡時点における「総遺産(gross estate)」を算定し、そのうち控除後の「課税遺産(taxable estate)」に対して税率を適用する形をとります。

また、生前贈与(gift)税と一体化されており、被相続人が死亡前に行った贈与・死後の移転を含め、「贈与+相続」のトータルで課税枠を共有する制度となっています。

この制度は、連邦政府の制度であり、州(state)によっては別の相続税(estate tax)または受贈者課税型の相続税(inheritance tax)を課すところもあります。

相続税制度の目的・意義としては、富裕層の資産移転に伴う税制上の優遇を是正し、累積的な富の世代間移動を抑制する役割があるとされます。

ただし、その負担対象は実質的に非常に富裕な遺産に限られており、一般の相続では該当しない例がほとんどです。

アメリカの相続税の適用対象と基本構造

①アメリカの相続税の適用対象(誰が課税されるのか)

連邦相続税(federal estate tax)は、基本的に以下のような対象に課せられます。

被相続人が米国市民(U.S. citizen)または米国居住者(U.S. resident)である場合、世界中の資産(worldwide assets)が課税対象となり得ます。

被相続人が米国市民・居住者でない(いわゆる非居住・非市民)場合でも、米国にある「米国所在(U.S. situs)」資産(例えば米国不動産、外国人が米国に所有する株式等)が一定額以上あれば、課税対象となる可能性があります。

各州においても「州相続税(state estate tax)」「相続税(inheritance tax)」の適用対象が別途存在し、州税の課税基準・控除額等は連邦税とは別であるため、居住する州/資産所在州には注意が必要です。

②アメリカの相続税の課税構造(どう課税されるか)

課税の仕組みを整理すると、主に次の流れで進みます。

①総遺産(Gross Estate)の計算

→被相続人の死亡時点において所有していた資産(現金、不動産、株式・債券、保険契約、退職口座、車両、家具・家財など)および特定の持分・権利(例えば生前譲渡後も死亡直前に有していた生命保険契約の権利、信託での retained interest 等)を時価で算定します。

この「時価(fair‐market value)」は、被相続人が購入時の価格ではなく、死亡時の価値を用います。

②控除・免除を差し引いた課税遺産(Taxable Estate)の算定

総遺産から、特別控除(marital deduction=配偶者控除、charitable deduction=慈善寄付控除等)や、債務・葬儀費用・行政費用などを差し引いた後の額が課税対象となる「課税遺産」です。

③課税率の適用

課税遺産が、法定の免除(exemption)額を超えた部分に対して税率を適用します。連邦税では40 %が主な最高税率です。

④申告・納付

遺産を管理するエグゼキューター(Executor/相続人指定等)が、所定のフォーム(例:Form 706)を提出し、税額を納付します。

このように、相続税は「死亡時点での資産移転」に着目し、「贈与+相続」を含めた総合的な課税枠(Unified credit/Lifetime exemption)を用いて運用されています。

アメリカの相続税の免除額・税率・控除の現状(2020年代)

①アメリカの相続税の免除額(Exemption)

連邦相続税でまず注目すべきは、課税対象となるために「免除される額(つまり課税されない範囲)」が非常に大きい点です。例えば、2025年時点で、個人あたりの免除額(連邦税)がおおよそ US$13.99 million であるという報告があります。また、配偶者がいる場合、配偶者控除や「配偶者間免除(spousal transfer unlimited deduction)」を適用することで、実質的に世帯で倍額近くの免除が可能です。

将来の法改正の議論もありますが、現在の制度では、この免除額を下回る遺産については税負担が発生しないケースが多く、「ほとんどの相続では課税されない」状況です。

②税率(Rates)

連邦相続税の税率は、課税遺産のうち免除額を超えた部分に対して適用され、最高税率は 40 % とされています。

過去の税率表を見ますと、18 %~40 %の階段制という構造も参照できます。

③控除・特別措置(Deductions & Special Rules)

配偶者控除(marital deduction):配偶者に遺産を遺す場合、その分は相続税課税対象から除外される。このため、生存配偶者への移転は通常は非課税となります。

慈善寄付控除(charitable deduction):遺産のうち、認定された慈善団体に寄付された分は控除対象となり、相続税の課税ベースを下げることができます。

信託・生前贈与・世代スキップ課税(generation-skipping tax:GST)等、富裕層向けの節税対策・制度設計も多岐にわたっており、専門的なプランニングが行われています。

アメリカの相続税の被課税対象となる財産・評価方法・申告期限

①対象となる財産(What is included)

対象となる財産は幅広く、被相続人が死亡時に所有・権利を有していたもの、あるいは死亡直前に譲渡されたものなども含まれます。

(具体例)

不動産(米国内・国外、この点は居住者/非居住者で異なります)

株式・債券・その他金融資産

現金・預金・退職口座(401(k)、IRA等)

保険契約(被相続人が受取人・保険料負担者であった場合)

家財・車両・美術品・骨董品等の動産

信託・生前贈与・持分・死後権利等、法令上含まれる特定の持分・権利も対象になり得ます。

②評価方法(Valuation)

課税時点は被相続人の 死亡時(date of death) となり、その時点での「公正時価(fair market value)」が原則として用いられます。

資産の購入価格ではなく、死亡時点での価値であるため、時価上昇している資産の場合、潜在的な課税ベースが大きくなります。

③申告・期限・手続き

相続税申告書(Form 706)が使用され、被相続人の死亡後9か月以内に提出・納税が求められるのが一般的です(延長申請が可能なケースあり)。
米国歳入庁

また、資産を売却する際や米国所在資産がある非居住者の場合、相続税申告の義務がある場合があります。

州税・相続税・受贈者課税との違い

①州の相続税・受贈者課税(State estate & inheritance tax)

連邦税とは別に、米国各州(State)で「州相続税(state estate tax)」または「受贈者課税(inheritance tax)」を課すところがあります。

「受贈者課税(inheritance tax)」は、遺産を受け取る人が支払う税金であり、連邦レベルでは課税されていませんが、州の制度として存在します。

各州の免除額・税率・課税対象基準は州ごとに大きく異なります。例えば、免除額が非常に低めに設定されている州もあり、連邦免除額を下回っていても州税の対象となる可能性があります。

②州税・相続税・受贈者課税の違いの整理

連邦相続税(Federal estate tax):死亡した人の遺産全体を基に課税。遺産自体が課税主体。

州の相続税(State estate tax):州が課す相続税。連邦の課税基準とは別。

受贈者課税(Inheritance tax):遺産を受け取る者(相続人・受贈者)が支払う税。州によって課す。

→ 受贈者課税では、誰が受け取るか(相続人の親子関係や配偶者か否か)で税率・免除額が変わることがあります。

非居住者・外国人のアメリカ相続税(U.S. estate tax for non-residents/non-citizens)

日本在住・日本国籍の方、あるいは海外で資産を保有する米国非居住者の方にとって特に注意すべき点が「米国所在資産(U.S. situs property)」を通じて課税される可能性です。

非居住者・非米国市民(non-resident alien)であっても、米国にある所有資産(不動産、株式、米国口座、その他 “U.S. situs” 資産)が一定額を超えると、米国相続税の対象となる可能性があります。

例えば、カナダ居住者の場合の解説では、米国資産に対して課税される際、米国市民・居住者用の「統一控除(unified credit)」を按分(プロラタ)方式で適用できる場合があるという説明があります。

つまり、米国財産を所有している外国人(日本人も含む)は、死亡時に米国相続税申告の義務が生じる可能性があるため、あらかじめ“米国所在資産”があるかどうか/その価値がどのくらいか/減税・控除の適用可否を検討しておくことが重要です。

このため、国内(日本)に居住していても、米国に所有不動産や株式を持っている場合には、米国税務の観点から早めのリスク把握・プランニングが望まれます。

アメリカの相続税の計算例:概算フロー

具体例として、シンプルなモデルで連邦相続税の概算流れを見てみましょう。なお厳密な税額は個別状況で異なりますのでご参考としてご覧ください。

モデルケース:
被相続人 A が死亡時点で保有資産(時価)1,500万ドル(US$15 million)を有していたとします。配偶者 B が生存しており、かつ被相続人の遺産を全て配偶者に残す形とします。

総遺産(Gross Estate)= US$15,000,000

配偶者控除適用(配偶者に全額移転)→遺産が全て配偶者に渡るため、連邦相続税課税対象となる部分は配偶者控除後で US$0 という形が理論上可能です。

結果、連邦相続税負担が「0ドル」というケースが成立します(ただし州税・州制度・資産構成・控除等により異なります)。

このように、配偶者控除と高額な免除額があるため、多くのケースで連邦相続税の課税対象にならないという現実があります。

別のケースとして、被相続人 C が死亡時点で保有資産 US$20 million、配偶者控除を使わないか、配偶者がいないという状況を考えます。

総遺産= US$20,000,000

連邦の免除額(仮に US$13.99 million)を差し引くと、課税遺産 ≈ US$6.01 million

課税対象額に対し、最高税率 40 % が掛かるため、概算税額 ≈ US$2.404 million(ただし実際には段階税率・控除等を踏まえる必要あり)

こうした試算をもとに、相続税のインパクト把握が可能です。

アメリカの相続税制度の歴史的背景・制度趣旨

①歴史的変遷

米国における相続税制度は、1916年に現代型の「連邦相続税」が制定されました。

その後、税率・免除額・課税範囲がたびたび改正されており、2000年代以降は免除額の拡大・税率の調整が行われてきました。

近年では、免除額が大幅に引き上げられ、「課税対象となる遺産」が極めて富裕層に限定されるようになっています。

②制度趣旨・論点

相続税制度の大きな趣旨として、「累積富の世代間移転を抑制」「資産の増加が恒常的に税を免れないようにする(キャピタルゲインを免れることを防ぐ)」「公平な課税の観点から高額相続に対して課税負担を設ける」といった点が挙げられます。

対して、制度には「負担対象が少なく税収も少ない」「資産が流動性の低い不動産・事業等であると納税負担が厳しい」「富裕層による節税スキームが多様化している」といった批判・論点もあります。

③相続税を巡る最近の論点・法改正の動向

現在、免除額の引き上げや将来の法改正の議論が進んでおり、2025年以降にさらなる変更が予定されている点に注目されています。

また、富裕層の資産移転手法(信託、グラントアニュイティトラスト、世代スキップ信託など)が高度化しており、税務当局・立法当局ともにその対応を検討しています。

さらに、非居住者・米国外居住者の米国資産保有が増えているため、クロスボーダーの相続税プランニング・申告義務の履行が増えてきています。

アメリカの相続税の対策・プランニングのポイント

相続税を回避・最小化するための典型的なプランニング手法を整理します。もちろん、個別事情(居住地・資産構成・国籍・税条約など)によって適用可否・効果が異なりますので、専門家に確認することを強くお勧めします。

①生前贈与(Lifetime Gifts)

被相続人が生前に贈与を行うことで、相続時点での遺産総額を減らす手法です。贈与税・相続税が連動しており、贈与時点での税負担・将来の相続時点での課税ベース減少を比較検討する必要があります。

ただし、贈与が無税というわけではなく、年間贈与免除額、贈与税の適用、将来的な資産の成長分が依然として課税対象になる可能性もあります。

②信託(Trusts)活用

信託を設計して、死亡時の課税遺産から資産を切り離す手法が富裕層では一般的です。例えば、インタクション トラスト (Intentionally Defective Grantor Trust) 等。

信託の利用には、信託設計・運営コスト・税務リスク・将来の法改正リスクが伴うため慎重な検討が必要です。

③配偶者控除・共同所有資産の最適化

配偶者がいる場合、配偶者控除や共同所有資産の調整を行うことで、課税遺産を減らすことが可能です。

ただし、配偶者控除を使ったとしても、配偶者の死亡時に再度課税対象となる可能性があるため、二次対策(サバイバーシップ対策)も検討が必要です。

慈善寄付・非課税対象資産の活用

遺産の一部を慈善団体に寄付することで控除を受け、課税対象遺産額を下げる手法があります。

また、不動産・株式等の課税ベースが上昇している資産については、「ステップアップ・ベーシス(step-up in basis)」という概念も関係します(死亡時価で取得資産の取得価格(basis)が切り上がる)ので、贈与・相続のタイミング・手法を比較検討する価値があります。

非居住者・米国外資産保有者のための対策

米国資産を所有している日本在住の方などは、米国所在資産が一定額を超えると米国相続税申告義務が発生する可能性があるため、

①所有資産の所在・時価把握、

②米国での控除・条約適用可否、

③非課税となる範囲の確認・申告義務の有無、

④米国と日本の税務・遺産法制の関係(条約・二重課税回避)
等を早めに確認することが重要です。

事業用資産・不動産保有の注意点

事業持株、不動産、農地・林地など時価が変動しやすい資産を保有している場合、死亡時評価・流動性・納税資金の確保・売却タイミングなどを含むプランニングが必要です。

「死亡時に評価が上昇していた資産を売却できず納税資金が不足する」というキャッシュ・フロー問題も起こり得るため、保険(生命保険を遺産税支払い用に活用)や売却タイミング検討なども有効です。

★注意すべきリスク・課題

非流動資産(例えば不動産、美術品、未上場株式など)を多く保有していると、死亡時に評価を巡る争い・納税資金の確保難が生じる可能性があります。

法改正リスク:相続税制度は将来の立法・政策変更の対象となるため、現在有効な優遇や免除が将来も継続されるとは限りません。

国際資産を含む場合、米国・日本・その他国の税務・遺産法制が絡むため、税務・遺産・信託・外国資産・条約対応の総合的な検討が必要です。

税務当局の監査リスク、信託の運営コスト・管理義務、贈与後の資産価格上昇に対する課税回避策の見直しなどが挙げられます。

相続人・受贈者にとって、相続税負担を見込んでいなかったというケースもあり、事前のキャッシュ・フロー・資金確保・納税準備が重要です。

日本在住者/日本資産も絡む視点での補足

日本在住・日本国籍の方が、米国に資産を保有している場合、米国相続税のみならず、米国資産の評価・申告・納税義務発生の可能性があります。

日本国内においても、相続税・贈与税の制度がありますが、米国制度との併用・条約・二重課税回避・資産の所在国の税制が絡むため、米国・日本双方の専門家(米国税理士・米国弁護士・日本税理士・日本弁護士)による検討が望ましいです。

加えて、為替・資産評価・米国所在資産の売却計画・納税資金の準備も、日本円での換算・資金移動の観点から早めに検討すべきです。

例えば、米国所在不動産を所有している場合、死亡時に「米国相続税+州税(所在州)+日本国内の相続税・贈与税」の三重負担のリスクが理論上存在しますので、早期の対策(信託設計・贈与・保険活用・資産所在地の見直し等)が重要となります。

よくある質問(FAQ形式)

Q1. 「ほとんどの相続では課税されない」と聞きますが、本当でしょうか?

はい。連邦相続税においては免除額が非常に高いため、課税対象となるのはごく富裕な遺産に限られています。例えば「課税を受ける遺産が死亡者の1%未満である」といった報告があります。

Q2. 遺産を受け取った相続人が課税されるのですか?

いいえ。連邦相続税は「遺産自体(estate)」に課税されるもので、相続人個人がその遺産を受け取ったこと自体に課税されるわけではありません。ただし、州の受贈者課税(inheritance tax)の適用がある州では、受贈人が税を負担するケースがあります。

Q3. 日本人が米国の株式を持っていたら、相続税がかかりますか?

米国に所在する資産(米国株式、米国口座、米国不動産等)がある場合、米国の相続税の対象となる可能性があります。非米国居住者・非市民の場合、免除額が市民/居住者に比べて低く設定されているか、あるいは按分計算となる場合があります。

Q4. 日本にも相続税があるので、二重課税になりませんか?

日本にも相続税・贈与税がありますが、国際的な資産の移転・相続に関しては、日米間の租税条約・二重課税回避条項・控除制度等を確認する必要があります。米国で相続税を支払ったからといって、日本での相続税が自動的にゼロになるわけではありません。したがって、両国税務・遺産法制を含めたプランニングが必要です。

Q5. どんな資産を持っていたら相続税対策をしないとまずいですか?

例えば、

米国に大規模な不動産を所有している、

米国に居住・長期滞在しており世界資産が大きい、

米国以外にも海外資産がありグローバルに資産を保有している、

事業用不動産・株式・信託等複雑な資産構成を持っている、
といったケースでは、死亡時の課税リスク・納税資金の確保・評価争いの可能性が高くなります。早めの対策が望まれます。

まとめ

米国の連邦相続税制度は、死亡時点での資産移転(遺産)を対象とし、贈与+相続を統合した課税枠を持っています。

免除額が高く、実際に課税対象となるのは富裕層に限られています。

税率は高め(最高40 %)ですが、配偶者控除・慈善控除・信託・贈与といった対策が可能です。

非居住者・外国人が米国資産を持つ場合も、米国相続税の対象となり得るため、クロスボーダー対応・資産所在の把握が重要です。

州税制度・受贈者課税も存在し、州ごとのルールを無視すると思わぬ税負担が発生する可能性があります。

将来の法改正や資産構成の変動・資産評価の上昇等がリスク要因であるため、早めのプランニング・専門家への相談を行うようにしてください。

行方不明のアメリカの相続人調査の方法とは?

国際相続

行方不明のアメリカの相続人調査が必要になる場合とは?

日本において、日本人が死亡した場合の相続人調査は、日本の戸籍をさかのぼることが基本になります。

以前は本籍地ごとに戸籍を請求しないといけませんでしたが、現在は戸籍の広域交付制度により、お住まいの市町村で遠くの本籍地の戸籍も請求できるようになりました。

この戸籍の広域交付制度とは、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書や除籍証明書を請求できる制度です。令和6年3月1日に戸籍法が改正され、施行されました。

但し、相続人が元々日本人であっても、アメリカで長期就労している場合や、アメリカ人と結婚したりした場合は、アメリカ国籍を取得してしまい、戸籍から出て行ってしまっている場合があります。

その場合、戸籍からは相続人であるかどうかが確定できず、遺産分割協議ができないので、行方不明のアメリカの相続人調査が必要になります。

アメリカの相続人調査の基本手順

では、アメリカの相続人調査の基本手順はどうしたらいいのでしょうか?

日本人は知らないことが多いのですが、大前提として、アメリカには戸籍制度がないため、相続人を探すにはアメリカの戸籍を取る、ということは不可能です。そのため、以下のような方法が有効です。

①公的記録の確認(出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書の取得)

②親族や知人への聞き取り

③インターネット検索やSNSの活用

④領事館・大使館への問い合わせ

⑤外務省の「所在調査」サービスの利用

⑥アメリカの公開個人情報調査サイトの利用

⑥現地の日本人会や現地弁護士への相談

実際には、一つの方法でアメリカの相続人調査が完了することは少なく、複数の手段を同時並行的にすすめていくことが必要になります。

アメリカの相続人調査完了後の手続き

アメリカの相続人調査が完了したら、相続人とコンタクトをとり、遺産分割協議と相続手続き証明書の準備を行い、相続登記や銀行の預金相続に必要な書類を提出します。

アメリカの相続人調査の問題点

上記のような手続きがスムーズにいけばいいですが、実際は、そんなに簡単にはいかないのが通常です。

なかなか行方不明のアメリカの相続人が見つからず、時間ばかりが過ぎていき、相続税の申告期限の10カ月がどんどん迫ってきて焦る。。。といった事態も頻繁に起こります。

また、運よく相続人が見つかったとしても、長期間交際がないケースも多いため、コンタクトをしても詐欺か何かかと疑われ、無視されたり、協力を拒否されたりして、手続きが進まないこともあります。

当事務所のサポート

でも、ご安心ください。当事務所は、20年近くにわたり、行方不明のアメリカの相続人調査を行ってきており、多くのノウハウを蓄積してきております。

アメリカの出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書の取得や英文レターの作成や翻訳等を駆使し、何とか相続人を探し当てるサポートを行います。

行方不明のアメリカの相続人調査でお困りの方は、一人で悩まず、行方不明のアメリカの相続人調査代行サポートをお気軽にご利用ください。

【業務報酬(※参考費用)】

1.アメリカの行方不明の相続人調査サポート25万円~(※個別見積もり)

※実費(電話代、メール代、各種官公庁手数料等)は別途となります。

 2.アメリカの相続人調査代行(※簡易調査):6万円~

※実費は別途となります。実務上は、アメリカ在住の日本人やアメリカ人の相続人についてある程度の情報がある場合は、簡易調査で見つかることが多いです。

外国人の相続放棄手続の方法

国際相続

外国人の相続放棄手続きの必要性

近年、外国人の日本への定住化に伴い、外国人の相続の事案が増えています。
外国人の相続においては、財産を相続する場合、日本の不動産の相続手続き、日本の銀行預金の他、海外の銀行口座の相続手続きや海外のファンド、海外の積立保険の相続手続き等、多種多様な手続きが必要となります。
一方で、被相続人に借金がある、あるいは日本に住んでいないから財産の管理が煩わしい等の理由で、相続を放棄するケースもあります。
そこで、今回は外国人の相続放棄の手続き、方法について解説します。

外国人の相続放棄の裁判管轄

外国人の相続のケースでは、まず、どこの国の裁判所で相続手続を行うことができるのかという、国際裁判管轄が問題となります。
日本の法律によると、相続放棄に関しては、被相続人(亡くなった人)の最後の住所や居所が日本国内にあった場合にのみ、日本の裁判所に管轄権が認められるのが原則です(家事事件手続法3条の11第1項)。
つまり、被相続人が外国人であっても、当該外国人が日本在住であれば、相続人の国籍や居住地に関係なく、日本の裁判所に相続放棄の裁判管轄が認められます。
一方で、被相続人が海外居住者である場合には、日本人であっても外国人であっても日本の裁判所に相続放棄を申し立てることは認められないのが原則です。
もっとも、それではあまりに不都合な場合もあることから、被相続人の居住国で相続放棄の法制度がなく、日本で相続放棄の効果を得る必要性が高いと認められる特別な事情がある場合には、例外的な措置として緊急管轄が認められることがあります。
この緊急管轄とは、日本の裁判所に管轄権が認められない場合であっても,外国での裁判手続が法律上又は事実上の原因により著しく困難であるときは,原告(申立人)を権利保護の途絶から救済するために,我が国の裁判所の管轄権を認めることをいいます。
したがって、海外居住者が被相続人のケースで相続放棄を行いたい場合には、まずは上記の緊急管轄が認められるかどうかの検討が必要です。

外国人の相続放棄の条件とは

では、被相続人の外国人が日本に居住してそのまま亡くなっており、当該外国人について日本の裁判所の管轄が認められる場合、当然に日本の相続法を適用して相続放棄ができるでしょうか?
この点については、まず、日本の法律である「法の適用に関する通則法」は、相続については被相続人の本国法を適用する(同法36条)と定めています。
したがって、例えば被相続人がアメリカ人の場合は、その本国法である米国法が適用されることが原則です。ただし、例外はあり、その本国法である外国法が「相続については被相続人の居住地法を適用する」と定めているような場合、日本法が適用されることになります(これを反致といいます)。そこで、外国法で反致についての規定があるかの調査が必要となります。

海外居住の元日本人である外国人のの相続放棄手続き・方法について

では、生まれた時から外国人であった方の相続放棄手続きではなく、アメリカ国籍等外国の国籍を取得して海外に居住する元日本人の方が日本で相続放棄をするパターンの場合、どのような手続となるでしょうか?
この点、日本国籍を持っている人が外国籍を自分の意思で申請して取得した時には、国籍法第11条1項の「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」という規定により、法律上は外国籍を取得した時点で、「自動的に」日本国籍を喪失します。
ただ、相続人が日本国籍を喪失し、外国人となっている場合でも、裁判管轄や裁判所での相続放棄の手続は相続人が日本在住の日本人の場合と違いはありません。
もっとも、日本国籍を喪失した元日本人は戸籍から除籍されるため、戸籍のみでは相続人でることを証明できませんので、宣誓供述書(AFFIDAVIT)などの書類を別途用意することにより相続関係を証明する必要があります。

外国人の相続放棄手続き・方法についてのまとめ

上記のように、外国人の相続放棄の場合、国際裁判管轄はどこなのか、適用される法律はどの国の法律かの問題、その他実際の相続放棄の手続きについての必要害類の内容など、被相続人と相続人全部が日本居住の日本人の場合とは異なり、事案ごとに様々な複雑な問題が生じます。 そのため、相続人が自分で手続きを進めていくことが困難なケースが多くなります。
でも、ご安心ください。
当事務所は外国人の相続放棄に精通した司法書士、弁護士等の国際業務に強い専門家とともに、外国人の相続放棄をサポートいたします。
外国人の相続放棄でお困りの方はどうぞお気軽にご相談ください。

カンボジアの相続手続き・方法

国際相続

カンボジアの相続手続きが必要となる場面は?

カンボジアの相続手続きが必要となる場面の典型例としては、カンボジアで駐在員をしていた際に、カンボジアで銀行口座や不動産を購入し、そのまま帰国し、死亡したような場合があります。
しかし、当事務所に持ち込まれるカンボジア相続の案件の多くが、日本在住の日本人が、アクレダ銀行、プノンペン商業銀行、カナディア銀行などのカンボジアの銀行に米ドル預金をして、そのまま亡くなってしまったようなケースです。
これは、カンボジアでは米ドルの預金金利が高く、米国の預金金利が1%のころでもカンボジアの銀行で預金すると5%程度の金利がついていたため、このような情報を知っている日本人がカンボジアに行って預金口座を開設していたためです。

カンボジア相続法はどんな法制なのか?

相続法制には、大きく分けて包括承継主義(債権・債務をまとめて相続)と管理清算主義(債務を清算後に相続)があります。日本は被相続人死亡(相続)時から原則として被相続人の債権・債務をまとめて相続する形態をとっており、包括承継主義を採用しています。また、カンボジア民法も日本民法同様、包括承継主義を採用しています。
したがって、日本同様、カンボジア人がカンボジアで死亡した場合、原則としてその相続人は被相続人の債権債務を承継します。
ただし、日本民法とは異なる規制もあります。外国人の土地所有が原則として自由な日本とは異なり、カンボジア憲法は、外国人の土地の所有を禁じています。
これを受けて、カンボジア民法は、相続人がカンボジア国籍を有していない場合には、その相続人は土地を相続することができないと規定しています。
例えば、カンボジアにたくさんの土地を持っていたカンボジア人の父が亡くなった場合、日本人の母は外国人なので、夫が所有していた土地を取得することはできません。
この場合、原則としてカンボジア国籍の子や親、兄弟姉妹がこれを相続するということになります。

カンボジア相続法で相続人は誰になるのか

親子兄弟姉妹や配偶者等の家族のうち、誰が相続人になることができるかについては、以下のように定められています。

まず、配偶者は常に相続人になることができます。
そして第一順位の相続人が子、第二順位が親、そして、第三順位が兄弟姉妹とされています。
つまり、カンボジア相続法においても日本の相続法と同様、子や配偶者は常に相続人になることができますが、親は直系卑属が全くいない場合、兄弟姉妹は直系尊属(親)と直系卑属(子や孫)が全くいない場合にのみ相続人になる資格があります。

日本とカンボジアの法定相続分の違い

では、法定相続分についてカンボジアと日本ではどう違うのでしょうか。
実際、法律が定める相続できる割合(法定相続分)は、カンボジアと日本では大きく異なります。
カンボジアの場合、法定相続分は以下のように定められています。

①配偶者と子が相続人であるケース

→配偶者と子が全員で均等に相続

②相続人に子がおらず、配偶者と父母(合計3名)が相続人となるケース

→3分の1ずつ均等に相続

※父母の内どちらか一人しか生存していないケース(相続人2名)では半分ずつ均分に相続します。

③子や直系尊属がおらず、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケース

→配偶者が半分、残りの半分を兄弟姉妹で均等に相続

上記からすると、日本の相続法に比べ、カンボジア相続法における配偶者に対する保護は、日本と比べ、低いように思われます。

これだけではわかりにくいかもしれませんので、例を挙げながら日本の相続法と比べてみましょう。

1.妻と2人の子が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)

日本では、法定相続分はそれぞれ、妻が半分(6千万円)、子が4分の1ずつ(3千万円ずつ)となります。一方、カンボジアでは妻が3分の1(4千万円)、2人の子共に3分の1(4千万円)ずつとなります。

2,妻と夫の両親が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)
日本では、妻が3分の2(8千万円)、夫の両親が6分の1(2千万円)ずつとなります。
一方、カンボジアでは妻が3分の1(4千万円)、夫の両親共に3分の1(4千万円)ずつとなります。

3.妻と2人の兄弟が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)

日本では、妻が4分の3(9千万円)、夫の兄弟が8分の1(1500万円)ずつとなります。
一方、カンボジアでは、妻が半分(6千万円)、2人の兄弟が4分の1ずつとなります。

上記のように、同じ関係の相続人であったとしても、多くの場合、配偶者の相続分は日本の場合よりもカンボジアのほうが少なくなります。

カンボジアの相続手続き・方法

カンボジアでは、相続開始から1か月経過した後、共同相続人が遺産分割のための協議を開始することができます。
そして、遺産分割について、共同相続人間に協議が整わないとき、または、協議をすることができないときは、各共同相続人は、その遺産分割を、カンボジアの裁判所に申し出ることができます。
形式上はそうなのですが、日本人がカンボジアの銀行口座を持っていて、日本で死亡した場合、カンボジアの銀行は多くの場合、カンボジアの裁判所を通じた手続きを要求してきます。
そのため、カンボジアの弁護士を雇って裁判所を通じた手続きをせざるを得ないことが多くなります。
したがって、実務上は、日本で遺言や遺産分割協議書があったとしても、費用、時間がかかるのが通常です。

当事務所のサービス

当事務所では、カンボジアの相続手続きや方法がわからずお困りの方のため、現地弁護士と提携し、カンボジアの相続手続き代行サービスを行っております。

カンボジアの相続手続きでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

(参考価格)

カンボジア銀行相続手続き代行サービス:50万円~(※個別見積もり)

(※対応可能な銀行:アクレダ銀行、プノンペン商業銀行、カナディア銀行等)

外国法調査代行サービス

国際相続

外国法調査が必要となる場面

最近、ビジネスの国際化による国際取引の増加や国際相続案件の増加に伴い、手続きの際に、外国の根拠法を提出することが求められることが多くなっています。

例えば、被相続人がアメリカ人で、日本に銀行預金を残したまま死亡した場合、相続人が誰かを確定するには、「被相続人の本国法」つまり、米国法を見る必要があります。

そして、米国は州により法律が違いますが、例えば米国カリフォルニア州法が適用される場合、カリフォルニア州の州法を確認し、誰が相続人かを確定する必要があります。

しかしながら、例えばカリフォルニア州の法律は当然に英文でかかれていますし、また膨大な条文の中から相続に必要な部分の条文を見つけてきてそれを翻訳する必要があります。

これを遺族の方が自分で行うのは、難しいことが多いのではないでしょうか。

また、海外に進出する場合、現地での法人設立関連法規や労働関係法令についての調査等は必須です。

しかし、現地のコンサルタントは「現地の法律ではこうなっている」というばかりで、「本当にそうなの?」と疑問がわくことも少なくありません。

このような場合に、よく調べずに手続きを進めた場合、後で困ってしまうことにもなりかねません。

そこで、当事務所では、そのような問題でお困りの方のため、「外国法調査代行サービス」を行います。

「銀行から外国法を調査するよう言われた」

「海外のエージェントやコンサルタントが言っていることに疑問がある」

等の場合、当事務所で法令を調査し、現地法にどのような条文があるかを報告書にまとめ、ご報告いたします。

外国法調査でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

当事務所のサービス

外国法調査代行サービス:5万5千円~(※個別見積り)

※業務内容は各種法令の調査とレポートとなり、法令の解釈や適用に関する助言は行いませんのでご注意ください。

タイ人の相続手続きや遺言手続き・方法

国際相続

タイ人の相続手続きについて

日本では、タイ人と国際結婚している日本人も多くいらっしゃいます。このようなカップルの組み合わせとしては、日本人夫とタイ人妻が多いです。

タイ人と日本人夫婦の場合 、相続は亡くなった人の国籍の法律で考えることになります。

例えば、日本人の夫が亡くなって相続が発生した場合、日本法に基づいて判断します。

一方、タイ人の妻が亡くなって相続が発生した場合、まずはタイ法に基づいて判断します。

タイ法では、相続される動産 (金銭を含む不動産以外の全ての財産 例:銀行預金や株式、投資信託等)は死亡時の住所地の法律が適用されます。

そのため、タイ人の妻がタイで死亡した場合はタイ法、日本で死亡した場合は日本法が適用されます。

また、相続される不動産が日本にある場合 、タイ国法の定めにより、日本国法が適用されることになります。

ただし、タイにある不動産については、相続財産に含まれるとしても、日本人が所有権登記できない場合があるので、注意が必要です。

タイ人の遺言手続きについて

日本人が日本の公証役場等で遺言を作成する場合、日本法に基づき遺言が作成されます。

一方、タイ人が遺言を作成する場合、タイ国法に基づき遺言が作成されます。

ただし、タイ国法によると、遺言書の作成場所が日本である場合 、日本国の方式により遺言を作成ます。
もっとも、遺言書の効力および解釈は死亡当時の住所地の法律による、となっております。
そのため、タイ人が遺言を残して死亡した場合、遺言書の効力および解釈は死亡時の住所が日本の場合は日本法、死亡時の住所がタイの場合はタイ法が適用されます。

タイ人の相続に適用される法律(準拠法)

(1)原則:被相続人の本国法

日本の国際私法(法の適用に関する通則法)では、

【相続は、被相続人の本国法による】

と定められています。

そのため、

①被相続人がタイ国籍タイ法が相続全体に適用

②被相続人が日本国籍日本法が適用

となるのが原則です。


(2)日本に財産があっても結論は変わらない

被相続人がタイ人で、

①日本に不動産がある

②日本の預金口座がある

といった場合でも、相続人の範囲・法定相続分はタイ法で判断されます。

※ただし、手続き自体は日本で行う必要があるため、タイ法の内容を日本の実務に落とし込む作業が必要になります。


タイ法における相続の基本構造

(1)法定相続人の順位(概要)

タイ民商法典では、相続人は以下のように定められています。

    1. 子(実子・養子)

    1. 両親

    1. 兄弟姉妹(全血)

    1. 兄弟姉妹(半血)

    1. 祖父母

  1. 叔父・叔母

配偶者は常に相続人となり、他の相続人と共同で相続します。


(2)配偶者の相続分

配偶者の相続分は、他に誰が相続人になるかによって変動します。

例:

    • 子と配偶者 → 配偶者は子と同等の相続分

  • 両親と配偶者 → 配偶者が1/2

※ 日本のように「常に2分の1」という単純な構造ではありません。


(3)遺言の有効性

タイ法でも遺言は認められていますが、

    • タイ法所定の方式

  • 適法な形式(自筆・公正証書型など)

を満たさないと無効となる点に注意が必要です。


日本で行うタイ人相続手続きの実務

(1)必要書類(典型例)

日本で相続手続きを行う場合、以下のような書類が必要になります。

    • 被相続人の

        • タイの死亡証明書

      • 戸籍に代わる身分関係証明書

    • 相続人全員の身分関係証明書

    • タイ法に基づく相続関係説明書

    • タイ語書類の日本語翻訳文

  • 宣誓供述書(Affidavit)


(2)翻訳と認証が最大のハードル

タイの公文書は、そのままでは日本で使用できません。

通常必要となる手続きは:

    1. タイ国内で書類取得

    1. タイ外務省で認証

    1. 在タイ日本大使館での領事認証

  1. 日本語翻訳(正確性が極めて重要)

※ 書類の不備・翻訳ミスにより、金融機関で手続きが止まることが頻繁にあります。


家庭裁判所が関与するケース

(1)相続人確定が困難な場合

    • 相続人が多数

    • タイ国内にしか情報がない

  • 身分関係が複雑

といった場合には、日本の家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。


(2)相続放棄

タイ法が準拠法の場合でも、
日本の家庭裁判所での相続放棄手続きが必要になる点は実務上重要です。


相続税との関係(注意点)

(1)相続税の課税は国籍ではなく「居住地」

相続税は、

    • 被相続人または相続人の居住状況

  • 財産の所在地

によって、日本の相続税が課税される場合があります。

👉 相続法と相続税は別物であり、
「相続はタイ法、税金は日本」というケースも珍しくありません。


よくあるトラブル事例

    • タイの書類が揃わず、日本の預金が解約できない

    • 相続人の範囲を日本法で誤って判断していた

    • 翻訳の不備により金融機関で差し戻し

  • 配偶者の相続分を誤認していた


専門家に依頼すべき理由

タイ人の相続手続きは、

    • 国際私法

    • タイ民商法

    • 日本の相続実務

  • 翻訳・認証手続き

が複雑に絡み合います。

「日本の相続に慣れているだけ」では対応できない分野であるため、
国際相続に精通した専門家への早期相談が極めて重要です。

まとめ

    • 被相続人がタイ人の場合、原則としてタイ法が適用

    • 日本に財産があっても相続関係はタイ法で判断

    • 書類の翻訳・認証が最大の実務的難関

  • 相続税は別途、日本法で課税される可能性あり

日本人とタイ人の夫婦の場合、日本とタイの双方に財産があるケースも多くあります。

また、財産の種類も、日本の銀行預金のみでなく、タイのコンドミニアムやタイの株式、投資信託の他、世界各国に投資しているようなケースも多々あります。

そのため、日本人同士の夫婦の場合より、遺言、相続手続きは複雑化しやすく、難しいという印象を受ける方が多いようです。

当事務所では、国際相続、遺言を専門とする事務所であり、タイ人のカップルの遺言、相続手続きをサポートしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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