カンボジアの相続手続きが必要となる場面は?

カンボジアの相続手続きが必要となる場面の典型例としては、カンボジアで駐在員をしていた際に、カンボジアで銀行口座や不動産を購入し、そのまま帰国し、死亡したような場合があります。
しかし、当事務所に持ち込まれるカンボジア相続の案件の多くが、日本在住の日本人が、アクレダ銀行、プノンペン商業銀行、カナディア銀行などのカンボジアの銀行に米ドル預金をして、そのまま亡くなってしまったようなケースです。
これは、カンボジアでは米ドルの預金金利が高く、米国の預金金利が1%のころでもカンボジアの銀行で預金すると5%程度の金利がついていたため、このような情報を知っている日本人がカンボジアに行って預金口座を開設していたためです。

カンボジア相続法はどんな法制なのか?

相続法制には、大きく分けて包括承継主義(債権・債務をまとめて相続)と管理清算主義(債務を清算後に相続)があります。日本は被相続人死亡(相続)時から原則として被相続人の債権・債務をまとめて相続する形態をとっており、包括承継主義を採用しています。また、カンボジア民法も日本民法同様、包括承継主義を採用しています。
したがって、日本同様、カンボジア人がカンボジアで死亡した場合、原則としてその相続人は被相続人の債権債務を承継します。
ただし、日本民法とは異なる規制もあります。外国人の土地所有が原則として自由な日本とは異なり、カンボジア憲法は、外国人の土地の所有を禁じています。
これを受けて、カンボジア民法は、相続人がカンボジア国籍を有していない場合には、その相続人は土地を相続することができないと規定しています。
例えば、カンボジアにたくさんの土地を持っていたカンボジア人の父が亡くなった場合、日本人の母は外国人なので、夫が所有していた土地を取得することはできません。
この場合、原則としてカンボジア国籍の子や親、兄弟姉妹がこれを相続するということになります。

カンボジア相続法で相続人は誰になるのか

親子兄弟姉妹や配偶者等の家族のうち、誰が相続人になることができるかについては、以下のように定められています。

まず、配偶者は常に相続人になることができます。
そして第一順位の相続人が子、第二順位が親、そして、第三順位が兄弟姉妹とされています。
つまり、カンボジア相続法においても日本の相続法と同様、子や配偶者は常に相続人になることができますが、親は直系卑属が全くいない場合、兄弟姉妹は直系尊属(親)と直系卑属(子や孫)が全くいない場合にのみ相続人になる資格があります。

日本とカンボジアの法定相続分の違い

では、法定相続分についてカンボジアと日本ではどう違うのでしょうか。
実際、法律が定める相続できる割合(法定相続分)は、カンボジアと日本では大きく異なります。
カンボジアの場合、法定相続分は以下のように定められています。

①配偶者と子が相続人であるケース

→配偶者と子が全員で均等に相続

②相続人に子がおらず、配偶者と父母(合計3名)が相続人となるケース

→3分の1ずつ均等に相続

※父母の内どちらか一人しか生存していないケース(相続人2名)では半分ずつ均分に相続します。

③子や直系尊属がおらず、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケース

→配偶者が半分、残りの半分を兄弟姉妹で均等に相続

上記からすると、日本の相続法に比べ、カンボジア相続法における配偶者に対する保護は、日本と比べ、低いように思われます。

これだけではわかりにくいかもしれませんので、例を挙げながら日本の相続法と比べてみましょう。

1.妻と2人の子が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)

日本では、法定相続分はそれぞれ、妻が半分(6千万円)、子が4分の1ずつ(3千万円ずつ)となります。一方、カンボジアでは妻が3分の1(4千万円)、2人の子共に3分の1(4千万円)ずつとなります。

2,妻と夫の両親が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)
日本では、妻が3分の2(8千万円)、夫の両親が6分の1(2千万円)ずつとなります。
一方、カンボジアでは妻が3分の1(4千万円)、夫の両親共に3分の1(4千万円)ずつとなります。

3.妻と2人の兄弟が相続人となるケース(相続財産が1億2千万円の場合)

日本では、妻が4分の3(9千万円)、夫の兄弟が8分の1(1500万円)ずつとなります。
一方、カンボジアでは、妻が半分(6千万円)、2人の兄弟が4分の1ずつとなります。

上記のように、同じ関係の相続人であったとしても、多くの場合、配偶者の相続分は日本の場合よりもカンボジアのほうが少なくなります。

カンボジアの相続手続き・方法

カンボジアでは、相続開始から1か月経過した後、共同相続人が遺産分割のための協議を開始することができます。
そして、遺産分割について、共同相続人間に協議が整わないとき、または、協議をすることができないときは、各共同相続人は、その遺産分割を、カンボジアの裁判所に申し出ることができます。
形式上はそうなのですが、日本人がカンボジアの銀行口座を持っていて、日本で死亡した場合、カンボジアの銀行は多くの場合、カンボジアの裁判所を通じた手続きを要求してきます。
そのため、カンボジアの弁護士を雇って裁判所を通じた手続きをせざるを得ないことが多くなります。
したがって、実務上は、日本で遺言や遺産分割協議書があったとしても、費用、時間がかかるのが通常です。

当事務所のサービス

当事務所では、カンボジアの相続手続きや方法がわからずお困りの方のため、現地弁護士と提携し、カンボジアの相続手続き代行サービスを行っております。

カンボジアの相続手続きでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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(※対応可能な銀行:アクレダ銀行、プノンペン商業銀行、カナディア銀行等)