はじめに

海外投資が一般化した現在、日本人が海外株式(外国株)を保有したまま亡くなるケースは珍しくありません。米国株や香港株などを証券会社を通じて購入している場合だけでなく、海外企業の株式を直接保有している場合もあります。

しかし、海外株の相続は日本株の相続とは異なり、海外の法律や金融機関の手続きが関係するため、手続きが複雑になることがあります。
また、証券会社の所在国によって必要書類や相続方法が大きく異なることも特徴です。

この記事では、海外株の相続手続きの流れ、必要書類、税金、注意点について、初めての方にも分かりやすく解説します。

海外株の相続とは

海外株の相続とは、亡くなった人(被相続人)が保有していた外国企業の株式や海外証券口座内の株式を相続人が引き継ぐ手続きをいいます。

海外株には大きく分けて次のような種類があります。

一つは、日本の証券会社(例えば楽天証券やSBI証券など)を通じて購入している外国株です。この場合、株式は海外企業の株式であっても、日本の証券会社の口座で管理されています。

もう一つは、海外の証券会社や銀行口座で直接保有している株式です。この場合は海外金融機関の手続きが必要になり、日本国内の相続手続きだけでは完結しない場合があります。

どちらのケースでも、まずは被相続人がどこで海外株を保有していたのかを確認することが重要です。

海外株の相続手続きの基本的な流れ

海外株の相続手続きは、基本的には以下のような流れで進みます。ただし、株式の保管場所や証券会社によって具体的な手続きは異なります。

まず、被相続人が保有していた海外株の情報を確認します。証券会社の取引報告書や残高証明書、証券口座のログイン情報などを調査し、どの銘柄をどの証券会社で保有しているのかを把握します。

次に、相続人を確定するための戸籍調査を行います。日本の相続手続きと同様に、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、誰が相続人であるかを確定させます。

相続人が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、海外株を誰が取得するのかを決定します。遺言書がある場合には、その内容に従って分配が行われます。

その後、証券会社に対して相続手続きを申請し、株式の名義変更または売却手続きを行います。

日本の証券会社で保有している海外株の相続

日本の証券会社の口座で海外株を保有している場合、相続手続きは比較的シンプルです。

基本的には日本株の相続手続きと同様であり、証券会社に相続の届出を行い、必要書類を提出することで手続きを進めることができます。

一般的には、被相続人の死亡を証明する戸籍書類、相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書などを提出します。証券会社が書類を確認した後、株式は相続人の証券口座に移管されるか、相続人の指示により売却されることになります。

日本の証券会社が窓口となるため、海外の裁判所手続きなどは通常必要ありません。

海外証券会社で保有している株式の相続

海外証券会社の口座で株式を保有している場合は、手続きが複雑になることがあります。

まず、海外証券会社に対して口座名義人の死亡を通知する必要があります。多くの場合、死亡証明書の提出が求められます。

次に、誰が相続人であるかを証明するため、日本の戸籍書類を英訳したものを提出することになります。場合によっては、公証やアポスティーユ認証が必要になることもあります。

さらに、証券会社の所在国によっては、裁判所の相続手続きが必要になる場合があります。例えばアメリカでは、一定額以上の資産がある場合に**プロベート(遺産管理手続き)**が必要になることがあります。

このような場合には、現地の弁護士や専門家のサポートが必要になることもあります。

海外株の相続に必要な主な書類

海外株の相続手続きでは、日本の相続書類に加えて英訳書類が必要になることが多いです。

一般的に提出を求められる書類には、被相続人の死亡を証明する書類、相続人の身分を証明する戸籍書類、遺言書(存在する場合)、遺産分割協議書などがあります。

海外金融機関に提出する場合には、これらの書類を英語に翻訳したものが必要になることがあります。また、書類の真正性を証明するため、公証やアポスティーユ認証を求められることもあります。

海外株の相続税

海外株を相続した場合でも、日本の相続税の課税対象になります。

日本では、被相続人または相続人が日本に住所を有している場合、世界中の資産が相続税の対象になります。したがって、海外株式であっても日本の相続税申告に含める必要があります。

相続税の計算では、株式の評価額は通常、死亡日時点の市場価格によって算定されます。海外株の場合は、死亡日の終値や平均株価などを基準に評価されることが一般的です。

また、国によっては海外でも相続税が課税される場合があり、その場合には二重課税を調整する制度が適用されることがあります。

海外株の相続でよくあるトラブル

海外株の相続では、いくつかの典型的なトラブルが発生することがあります。

まず多いのが、相続人が海外株の存在を知らないケースです。海外投資はオンラインで行われることが多く、家族が口座の存在を把握していないことがあります。

また、海外証券会社の連絡先が分からない、ログイン情報が不明であるなどの理由で、資産の確認が難しくなることもあります。

さらに、海外証券会社の手続きが英語で行われるため、書類作成ややり取りが負担になることもあります。

海外株相続の対策

海外株を保有している場合には、将来の相続トラブルを防ぐための対策を行っておくことが重要です。

例えば、保有している証券口座や銘柄の情報を一覧にして家族と共有しておくことで、相続発生後の調査がスムーズになります。また、海外資産が多い場合には、国際相続に対応した遺言書を作成しておくことも有効です。

まとめ

海外株の相続は、日本株の相続と比較して手続きが複雑になる場合があります。特に海外証券会社の口座で株式を保有している場合には、英訳書類や現地手続きが必要になることがあります。

そのため、海外株の相続では、資産の所在を早期に確認し、必要書類を準備して手続きを進めることが重要です。

海外資産がある場合には、相続対策を事前に行うことで、相続人の負担を大きく減らすことができます。

なお、当事務所では、10年以上にわたり、多数の海外株式の相続手続きの代行を行っております。

海外株式の相続手続きでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。