Q.私は、シンガポールのDBS銀行に銀行口座を持っています。シンガポールの相続手続きには裁判が必要で、費用、時間がかかり、大変と聞きました。
来年70歳になりますので、シンガポールの財産を遺言で長女に相続させたいと思っておりますが、可能でしょうか?
A.シンガポールでは、遺言はシンガポール遺言法によって規制されており、遺言者は遺言を通じて不動産または動産を遺贈、遺贈、または処分することができると規定されています。
【シンガポールで遺言書を作成する方法】
シンガポールで有効な遺言書を作成するための要件は次のとおりです。
(1)遺言は書面で作成されなければならない。
(2)遺言者は21歳以上でなければならない。
(3)遺言者は2人の証人の前で遺言書の末尾に署名しなければならない。
(4)2人の証人は遺言の受益者または受益者の配偶者であってはならない。
遺言者が遺言書の末尾に署名できない場合、遺言者は代理人として、かつ遺言者の立会いのもとで署名をすることができます。また、2名の主な証人以外の証人も受益者となることができます。
【遺言書の記載に何を含めるべきか?】
1.すべての資産の一覧
→共有の銀行口座や住宅は遺言で相続させることはできません。
2.すべての負債の一覧。
→資産を受益者に分配する前に、負債をどのように返済したいかを明記する必要があります。
3.受益者(資産を誰に渡すか)と後見人(受益者が未成年の場合)、そして各人が受け取る金額。
→同時死亡の場合に備えて、予備の受益者も含めるとよいでしょう。
4.遺言執行者(遺言を執行するため)。
→受益者も遺言執行者となることができます。
5.遺言についてのアドバイザー。
→例えば、弁護士や会計士などです。
6.以前の遺言をすべて取り消す撤回条項。
7.残余財産をあなたの希望に従って分配する残余財産条項。
→例えば、受益者があなたより先に亡くなった場合、その者に遺贈された資産が残余財産となります。
詳細については、後述の包括的な遺言書を作成するためのチェックリストを参照してください。
【シンガポールの遺言についてのFAQ】
Q.中央積立基金 (CPF) の資金は遺言でカバーされますか?
A.CPF貯蓄は遺言書の対象外となるため、ご逝去時にご本人の希望に沿ってCPF貯蓄を分配してもらいたい場合は、 CPFの指名を行う必要があります。指名された各受益者は、指名された割合に応じて受益者となります。
それ以外の場合、CPF 貯蓄は公認管財人事務所に移管され、無遺言相続法の規則に従って分配されます。
Q.シンガポールでの遺言書作成費用はいくらですか?
A.シンガポールでは、弁護士に簡単な遺言書の作成を依頼する場合、一般的に300ドルから500ドルの費用がかかります。より複雑な遺言書(例えば、海外に資産を遺贈する場合など)の場合は、600ドル以上かかることもあります。
Q.死亡時に遺言書がない場合、遺産はどのように分けられますか?
A.死亡時に遺言書がない場合、原則として裁判手続き(プロベート、Probate)が必要になります。
遺産はシンガポールの無遺言相続法(第7条「分配規則」)に従って分配されます。
原則として、分配の優先順位は以下のとおりです。
①配偶者と子供
②両親
③兄弟
④祖父母
⑤叔母と叔父
しかし、実際の分配ルールは複雑であり、亡くなったときにあなたの希望を最もよく反映するために遺言書を作成する必要があるかどうかを判断するために弁護士にアドバイスを求めることをおすすめします。
Q.シンガポールで遺言書を作成するのに弁護士は必要ですか?
A.遺言書を作成するのに法律上必ずしも弁護士は必要ではありません。しかし、少なくとも財産の相続人に関する要件が複雑な場合は、遺言書作成を弁護士に依頼することをおすすめします。
シンガポールには、ファイナンシャルアドバイザー等、弁護士以外の専門家が提供する遺言書作成サービスもあります。
しかし、弁護士以外の遺言サービスは質の悪いものもあり、遺言の法的要件を満たしていなかったり、遺言者の遺志が実現できないようなものになっている場合がありますのでご注意ください。
また、安さをセールストークにしている業者もいますが、これらのサービスが弁護士のサービスよりも確実に安いというのはケースバイケースであり、真実ではありません。他の遺言書作成サービスとほぼ同じ価格で弁護士に遺言書作成を依頼することも可能です。
当事務所では、15年以上にわたり、シンガポールの相続手続きをサポートしてきており、シンガポールの弁護士と連携し、シンガポールに遺産を持つ日本人のため、シンガポールの遺言作成をサポートしております。
シンガポールに銀行預金、不動産、ファンド等をお持ちの方で、シンガポールの財産についての遺言をご希望の場合は、お気軽にお問合せください。









