海外の生命保険は予定利回りが高い
海外生命保険の相続手続き?海外の生命保険なんて加入している人っているの?という疑問がある方もいるかもしれません。
しかし、日本と同様、海外にも生命保険は存在します。
日本からも、富裕層を中心に、海外の生命保険に加入している方は少なくないようです。
ではなぜ、日本の生命保険ではなく、わざわざ海外の生命保険に加入するのでしょうか?
この理由は、予定利回りです。
保険会社が破綻してしまったりすれば予定どおりの利回りにならないのは日本の生命保険会社と同じですが、予定利回りのデータは大きく違います。
例えば、海外の終身保険の一例では、一括で2,000万円を払込んだ場合、16年で返戻率が2倍を超え、40年後には10倍もの返戻率になるものがあります。
これは、資金の投資先が多様なことや、税制上有利なオフショア地域で複利運用されていることが大きいように思います。
日本居住者が海外生命保険に入ることは原則として禁止されている
一方で、日本の保険業法は、日本居住者が海外の保険に入ることを保険業法で禁止しています。
(参照条文・保険業法186条)
第186条(日本に支店等を設けない外国保険業者等)
日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ。)を締結してはならない。ただし、同項の許可に係る保険契約については、この限りでない。
2.日本に支店等を設けない外国保険業者に対して日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、当該申込みを行う時までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
3.内閣総理大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認められる場合には、前項の許可をしてはならない。
一当該保険契約の内容が法令に違反し、又は不公正であること。
二当該保険契約の締結に代えて、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同等又は有利な条件で保険契約を締結することが容易であること。
三当該保険契約の条件が、保険会社又は外国保険会社等との間において当該契約と同種の保険契約を締結する場合に通常付されるべき条件に比して著しく権衡を失するものであること。
四当該保険契約を締結することにより、被保険者その他の関係者の利益が不当に侵害されるおそれがあること。
五当該保険契約を締結することにより、日本における保険業の健全な発展に悪影響を及ぼし、又は公益を害するおそれがあること。
正確にいうと、上記の保険業法第186条第2項で、日本居住者(※外国人を含む)が海外の会社と保険契約を結びたい場合は、当該申込みを行う時までに、内閣総理大臣の許可を受けないといけないとされています。
「日本人は海外の生命保険に入ると違法」というような説明をしているサイトもありますが、正確には「日本居住者が内閣総理大臣の許可なく海外生命保険に入ると違法」ということです。
言い換えると、日本居住であれば外国人はこの条文の対象となりますが、逆に日本人であっても日本の非居住者である場合は海外生命保険への加入は自由です。
海外生命保険加入のリスクは?
では、海外の生命保険に入るリスクは一体何なのでしょうか。
1.生命保険金支払いリスク
確かに、海外の生命保険の加入の際に内閣総理大臣が許可を出した例は過去にはないようです。
そのため、この条文は形骸化しているから、気にしないでいいと無責任な勧誘をしている会社もあるようです。
しかし、そもそも国内での生命保険勧誘業務は日本に支店のない保険会社は日本居住者に対して保険の販売ができません(保険業法第186条第1項)。
また、一般的には海外生命保険は長期での積立が原則ですから、法改正や法律の運用の変更リスクはとても高いです。
ですから、将来この法律が厳格に適用されれば、違法な商品であるから保険金が支払われないというリスクがあると思います。
このように、海外生命保険は、やり方を間違えると、将来大きなトラブルに巻き込まれるリスクがありますので、安易な契約はおすすめできません。
2.手続きのリスク
海外生命保険の手続きは英語で、しかも金融、保険英語がたくさん出てきます。
また、現地の法律や慣習に合わせた資料を要求してくるため、英語がある程度できる方でも、何をどうすればいいのかさっぱりわからず、困ってしまうことも少なくありません。
海外生命保険は加入の時は「OOファイナンシャルプランナー」や「OOアドバイザー」と名乗る人がサポートしてくれますが、請求や解約の場合はサポートしてくれないのが通常です。
したがって、自分で苦労しながら手続きするか、別のサポート会社を利用する必要があります。
さらに、海外生命保険の相続手続きについては、相続人の証明や、住所、パスポートの証明等、かなり沢山の複雑な手続きが要求されます。そのため、専門家のサポートなしに手続きはできないことが多くなり、日本の生命保険の受領手続きと比べ、大幅に手続きが難しくなり、時間、費用が大幅に増加します。
3.手数料リスク
多くの方が見落としていますが、海外生命保険は一般の投資信託などに比べ、手数料がとても高い場合が多いです。年間で10%前後の手数料を取っているようなぼったくり(?)としか思えないようなものもあります。
特に、生命保険は長期契約が前提ですので、中途解約すると返戻金が大幅に減額されるものがほとんどです。
一方、海外の生命保険を紹介しているアドバイザーは、利回りばかりを強調し、手数料についてはきちんと説明していないことがかなり多いです。
そのため、解約や請求した場合に、思ったほど利回りが出ていないといったことが起こりますので注意が必要です。
海外生命保険の相続手続きが難しい
上記の通り、海外在住の日本人は海外の生命保険に加入することができます。
したがって、日本法では、アメリカの日本人駐在員がアメリカの生命保険に加入したり、香港在住の日本人駐在員が香港の生命保険に加入することは問題ありません。
そして、英語の堪能な駐在員でしたら、海外生命保険加入の手続きは自分でできると思います。
ですが、遺族からすれば、海外生命保険の相続手続きは簡単ではありません。
相続後の海外生命保険の保険金請求手続きには日本から戸籍や住民票、パスポートなどの翻訳、公証した書類等、膨大な書類の提出が必要です。
また、保険会社とのやりとりは英語などの外国語で、しかも返事が返ってこなかったり、ぶっきらぼうな返事が返ってきたり、難解な言葉だらけだったりと、一筋縄にはいきません。
ですから、日本語しかできない相続人は、ストレスがたまるばかりで、全く手続きは進まず、困ってしまうことになります。
当事務所のサポート
でも、ご安心ください。
当事務所では、海外生命保険の請求手続きにお困りの方のため、海外生命保険の請求手続き代行サポートを行っております。
夫が海外で生命保険を契約していたが、その相続手続きがわからない、などの場合は、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談下さい。
1.海外生命保険解約代行サポート:20万円~
・生前に海外の生命保険が満期を迎えた場合等に償還手続きを代行します。
2.海外生命保険相続代行サポート:40万円~
・海外の生命保険の受取人(遺族)に代わり、保険金の償還手続きを代行します。
※過去事例では、香港の生命保険の請求手続き、アメリカの生命保険の請求手続き、カナダの生命保険の請求手続き、シンガポールの生命保険の請求手続き等を行った実績がございます。
上記以外の国でも対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。