アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管手続は可能か?
アメリカの証券会社で米国株を運用中の方からアメリカの証券会社から日本の証券会社への移管手続についての相談が時々あります。
初めに結論から申し上げると、アメリカの証券会社から日本の証券会社への移管手続については、不可能ではないが、できないことが多いといえます。
以下がその理由です。
アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管が難しい理由
1.日本の証券会社の対応状況
多くの日本の証券会社(例:楽天証券、マネックス証券など)は、海外の証券会社からの直接的な株式移管には対応していません。例えば、楽天証券では「海外ブローカーからの移管には現在対応しておりません」と明記されています。
2.技術的および制度的な制約
①株式の保管機関の違い:アメリカではDTCC(The Depository Trust Clearing Corporation)が中心的な保管機関ですが、日本では異なる保管機関が使用されています。
②株式の保管口座制度の違い:日本の証券会社では、特定口座や一般口座などの制度があり、これらが移管手続きに影響を与える場合があります。
③株式税制の違い:アメリカと日本では税制が異なり、移管によって課税関係が複雑になる可能性があります。
以上の理由から、アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管を認める証券会社は稀で、移管は難しいことが多くなります。
アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管の代替案はないのか?
上記のように、アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管が難しいとして、別の方法はないものでしょうか?
これについては、アメリカの証券会社で保有している米国株を売却し、その資金を日本の銀行口座に送金する方法が一般的です。
手順は以下の通りです。
①米国株の売却:アメリカの証券会社の口座で保有している株式を売却します。
②資金の送金:売却によって得た資金を、日本の銀行口座に送金します。送金手数料や為替レートに注意が必要です。
③日本の証券会社で再投資:日本の証券会社の口座で、再度米国株を購入することが可能です。
代替案の注意点
この手続き注意点の注意点は以下の通りです。
①為替手数料:送金時の為替手数料や為替レートに注意が必要です。原則としてUSドルで受け取ることになりますので、USドルの両替レートや為替手数料の安い銀行に送金することがポイントです。
②税務申告:売却益や送金額に応じて、税務申告が必要になる場合があります。海外からの送金は少なくとも100万円以上のものはすべて税務署に報告されますので、確定申告しないとすぐにばれます。利益が出ている場合は、きちんと申告し、適正に納税することが大切です。
総括
アメリカの証券会社から日本の証券会社への米国株の移管は、上記のように、制度的・技術的な制約から非常に難しいのが現状です。代替案として、アメリカの証券会社で株式を売却し、その資金を日本に送金して再投資する方法が一般的です。移管の手続きや税務申告に関して不明点がある場合は、専門家に相談することをおすすめいたします。